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弁護士業務とセカンドオピニオン

弁護士 森田祥玄

1 一度弁護士に依頼をしたなら、原則として、依頼をした弁護士を信じて手続を進めていくほうがよい結果になるだろうと思います。
2 しかし、自分が依頼をした弁護士の進め方や処理方針に疑問を持ったときは、セカンドオピニオンを仰いで頂いても構いません。
3 セカンドオピニオンを仰ぐときは、現在依頼をしている弁護士にその事実を伝えなくても構いません。手元の資料をもとに、疑問点を整理し、これ以外の方針を採り得ないのか、納得いくまで質問をしてください。
4 自分の依頼者がセカンドオピニオンを仰ぐことについては、快く思わない弁護士もまだいるかもしれません。しかし若い弁護士を中心に、それは依頼者の当然の権利だと考える弁護士も増えました。私個人としては、仮に自分の依頼者が他の弁護士にセカンドオピニオンを仰いだとしても、良くも悪くも特別な感情は持ちません。ご希望があれば別の弁護士に相談をしやすいように資料をまとめて、争点とセカンドオピニオンを仰ぎたい点を整理して、お渡ししても構いません。
5 セカンドオピニオンを受ける側の弁護士の立場に立ちますと、まず、現在担当している弁護士に比べて、圧倒的に情報量が不足しています。1年ほど裁判をやってきた案件のセカンドオピニオンを、30分(税抜きで5000円)の法律相談で行うのは、困難を伴います。セカンドオピニオン用に数時間かける必要があるのが通常で、事案にもよりますが、例えば名古屋市の各区役所の無料法律相談(通常15分~20分程度)でセカンドオピニオンを仰ぐのは、現実的ではないことも多いかと思います。記録を検討し意見を伝えるための弁護士費用をいくらに設定するかは事案によりけりとしか言いようがありませんが、私なら、例えば3時間ほどの検討時間と1時間の打合せ時間を要する案件で10万円(税別)ほどでしょうか。弁護士のタイムチャージ(1時間に要する費用)は弁護士によって異なりますが、概ね2万円から3万円(税別)前後かと思います。「例えば5万円でできる範囲内で答えて欲しい」などの要望にも対応できることもありますので、予算も率直にお伝えください。
6 セカンドオピニオンで悩ましいのが、記録にあらわれない、現在担当している弁護士しか持っていない情報があることです。例えば裁判手続では裁判官は、将来的にどのような判決になるのかはっきりということはあまりありません。しかし、目線、態度、声等、体全体で有利・不利の雰囲気を出すことがあります。それは実際に裁判所に行く担当弁護士でしか感じ取れないもので、その情報がないままアドバイスを行うと、望まぬ結論になるかもしれません。
7 よくあるセカンドオピニオンの類型としては、「担当弁護士が和解すべきと私を説得してくる。私は和解に納得できていない」というものがあります。このような思いを頂いたなら一度はセカンドオピニオンを仰いで頂いた方がよいだろうと思います。しかし、実際には、「私も担当弁護士のおっしゃるとおり、和解をした方がよいとは思いますよ」と回答する場面が多いのも実情です。どこで納得をするかの問題でもありますので、さらにサードオピニオンを仰いでもよいのかもしれません。
8 過去にセカンドオピニオンから受任をした経験もまったくないわけではありません。交代した方がよいと思える類型の1つは、明らかなミスマッチがあると思える場合です。相談者はメールでのやり取りを望んでいるのに、郵送かFAXしか使えない弁護士ならば、交代を検討した方がよいかもしれません。また、既に担当弁護士との信頼関係が破綻しており、担当弁護士も交代を希望していると思われる場合も、セカンドオピニオンから受任をした方がよい類型かと思います。
9 従前は、セカンドオピニオンの相談を受ける際は、担当弁護士に不満を持っているのが通常でした。しかし最近は、担当弁護士に特段の不満はないのだけれど、さらにいいアイデア、提出できる証拠や文献がないかということを聞きたい、というご相談もあります。セカンドオピニオンが身近になったということかと思います。なかなか短い法律相談の時間で役に立つアドバイスをするのも難しく、また、受任を前提としないご相談にも、もちろん費用は発生するのですが、ご希望がありましたらそのような需要にもお応えできるよう、見積もりをお出しいたします。
10 担当弁護士の知識不足、力不足と思われる事案は、セカンドオピニオン全体からすればごくまれです。しかし裁判手続は一生に何度もあるものでもありませんので、ご自身の案件がその「ごくまれ」に該当するのか否かも、確認をしたほうがよいだろうと思います。
11 セカンドオピニオンを仰ぎたい、というご希望にも当事務所の所属弁護士は対応いたします。その際の費用も見積もりはいたしますので、お気軽にご連絡ください。