解決事例
- 事例
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多数の債務を残し若年性認知症となった親族に関し、成年後見の申立を行い、成年後見人に選任された弁護士により債務が清算された例
事案概要
長年付き合いのなかった甥が若年性認知症となり、病院に入院していると、名古屋市の生活保護係の方から電話がありました。生活保護係の方や、いきいき支援センターの方からは、私しか連絡の取れる親族がおらず、家には何百万円という借金の督促状が届いていると聞いています。幼い頃はよく遊んであげた甥ですので、お見舞いに行ったり、破産をするための弁護士費用程度ならば支出も覚悟しているのですが、何百万円の借金を支払ったり、今後ずっと家族のように世話をしていくことは難しいと考えています。どのように対応すればよいでしょうか。
解決方法
身寄りのない遠縁の親族が認知症となり、病院、市役所、いきいき支援センターなどから電話がかかってくる、との相談は増えています。
電話を架ける方も、ほかに頼るところがなく電話をかけておりますし、電話を受けた方も、どこまで関与をすべきなのか、悩むこともあるかと思います。
まずは法律上負う義務と道義上負う義務とをしっかりと区別し、ご自身のご家族ともよくご相談ください。ひとえに親族といいましても、その関係の濃淡や経済事情は人によって様々です。弁護士は自分の価値観を押しつけるようなことはいたしませんので、思うところを率直にお伝えください。
仮に、成年後見申立の弁護士費用までならばだせる、とのことでしたら、ご本人の状態にもよりますが、今回は成年後見人の選任申立を行うことが考えられます。
破産申立を行うにも本人の意思能力が必要となりますので、現在の状態では破産手続を進めることができない可能性があります。しかし成年後見人に弁護士が就任すれば、当該弁護士が破産申立手続を行い、借金については免責される可能性が高まります。また、当該弁護士が今後の施設入所等の事務的な手続にも対応してくれるのが通常です。
名古屋市の場合は、生活保護受給者には毎年の成年後見費用を援助する制度もあります。どこまで関与すべきか悩んだら、一度弁護士にご相談ください。
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- 事例
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知的障がいがある子どもがおり、他の子どもが世話をしている事案で、遺言を作成することで将来の紛争を未然に防いだ事例
事案概要
私の子どもは3人おりますが、長男Aはもう都会に出ております。次男Bには知的障がいがあり、長女Cが私や次男Bの日々の生活の面倒を見てくれています。私が亡くなった後に、次男Bが生活できるような遺言を残したいのですが、どのようにすればよいでしょうか。
解決方法
子どものうちの一人に知的障がいがある場合、自分が亡くなった後のことを心配され、遺言を作成される方は多数いらっしゃいます。とくにご両親と同居をしている場合や、ご両親の資産で生活が成り立っているような場合、遺言を作成する必要性は高い類型といえます。
具体的には、今住んでいる土地・建物については、生活基盤を残すために障がいがある次男Bに相続させることが考えられます。また、誰かに騙されて安価で売却をしてしまうのではないか、などの不安がある場合、その多くを次男Bに相続させ、一部(たとえば建物の4分の1)を長男Aに相続させることで、次男Bの判断だけでは売却できないようにする工夫も考えられます。
また、次男Bの世話を続ける長女Cの負担を考え、次男Bの世話を続けるという条件をつけたうえで長女Cに少し多めに預貯金を残すことも考えられます。
心配事は尽きないかとは思いますが、遺言を工夫することで、多少なりとも将来に見通しを立てることも可能となります。
いつか作ろうと思っていてもなかなか前に進めることができないのが遺言です。思い切って、弁護士にご相談ください。
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- 事例
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子どもの一人に知的障がいがあり成年後見人が就任した事案で、遺言を作成することで将来の遺産分割の紛争を未然に防いだ例
事案概要
私の子どもは3人おりますが、次男Bには知的障がいがあり、既に名古屋家庭裁判所が選任した弁護士が成年後見人としてついております。私は賃貸不動産を多数有しておりますが、子ども達の遺産分割の際は次男Bの成年後見人である弁護士とも協議をしなければならず、揉めるのではないかと不安です。何か揉めないような対策はないでしょうか。
解決方法
相続人のうち一人に成年後見人がついている場合、遺産分割協議が難航する可能性があります。成年後見人の弁護士としては次男Bの不利益となる行為を取ることは難しく、立場上、適切な法定相続分どおりの遺産分割を要求せざるを得ません。例えば長男Aと長女Cが、賃貸物件はしっかりものの長男Aが相続をしよう、先祖代々の土地は孫もいる長女Cが相続しよう、などの希望を有していても、遺言を残していなければ、次男Bの成年後見人である弁護士としては安易に同意をすることは職責上難しく、遺産分割協議が難航します。
しかし、次男Bの遺留分を害さない形での遺言を残していれば、次男Bの成年後見人である弁護士としても、遺言どおりに履行して貰えばそれで足りますので、紛争になる余地がありません。
ご家族のどなたかに成年後見人がついた場合、制度上、成年後見人は親族全体の利益ではなく、本人の利益のために動かなければならない点を理解し、将来の紛争を防ぐために、積極的に遺言を残すようご検討ください。
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