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無料求人広告への対応

弁護士 森田祥玄

1 全国で報道もされておりますが、名古屋でも「3週間無料掲載すると言われたので、求人広告を申し込んだら、期間経過後に自動更新の通知書と請求書が送られてきた」という相談を多数受けております。愛知県弁護士会の中小企業法律支援センターには、2019年の上半期で36件の相談があった、とのことです。
2 多くは、更新をするか否かは別途連絡をする、そのときに決めて頂ければよい、と事前に説明を受けます。しかしそもそもそのような、別途連絡する、という手紙が届かない案件もあります。また、私が名古屋の事業者でご依頼を受けた件では、確かに更新をするか否かの手紙は届いておりました。しかし、その手紙は、当該事業者の名前はほとんどでておらず、まったく関係のないパンフレット(例えば「ホームページを作りませんか」などの、ポストに入っていてもすぐに捨ててしまうようなパンフレット)に見えるものでした。非常に分かりにくく、一番後ろのほうに、求人広告のことが短く書いてありました。そして期間が経過したとして、数十万円の請求書が届きました。
3 法律的にこのような求人広告に対して支払義務がないことを主張できるのか、ですが、確かに消費者ほどの法的保護のない事業者を狙った、隙間を付いてきた商売であることは否定できません。
4 しかし、話を聞いたうえで、「結論として、このような商売がまかりとおるわけがない」という感覚を持つ案件については、私はご依頼を受け、内容証明郵便を送付しております。今のところ、私がご依頼を受けた案件は、事業者側からそれ以上の請求をされたことはありません。なお、仮に裁判になった場合には、依頼者様側に赤字にならない範囲内で対応いたします。
5 現在、全国の弁護士が同様の被害について情報を共有しております。私自身も、依頼者の皆さまからの同意を得たうえで、複数の弁護士と情報を共有したうえで、裁判に移行した場合の法律構成も協議しております。
6 求人広告を出すほど忙しい事業者の方々は、まあ、これぐらい仕方ないか、と考え支払ってしまうこともあるかもしれません。しかし、ここでの妥協が、次の被害者を生み出します。法律上必ず勝てるとお約束できるわけではありませんが、安易な妥協はせず、支払いを拒むという対応もぜひご検討ください。