業務内容

労務管理

労務管理のご相談につきまして

 採用が難しくなり、人材不足が叫ばれて久しくなりました。それに伴い企業が直面する労務問題も大きく変動しています。
 今まで仲間であった労働者から内容証明郵便が届き、残業代が請求され、ハラスメントがあったと主張されるのは、とてもつらい経験です。
 業務では優秀で、冷静で、取引先からの信頼の厚い経営者であっても、労務トラブルになると合理的な判断を見誤ることがあります。企業存続に致命的な打撃を与える前に、早期に愛知さくら法律事務所にご相談ください。
 愛知さくら法律事務所では、税理士や社会保険労務士とも協力しながら、日々の労務管理と共に、法的紛争となった労務トラブルにも迅速に対応いたします。

解決事例

事例
1

 就業規則を大幅に改訂した例

事案概要

 父親の代から名古屋の地で事業を営んでおります。我が社には就業規則はありますが、古いものになっており、一度抜本的な見直しを検討しております。父親の代からの顧問弁護士に相談をしましたが、抽象的なアドバイスのみで具体的にどうすればよいのか分かりません。就業規則の改訂をお願いできますでしょうか。

解決方法

 就業規則は会社と労働者との契約内容となります。労務トラブルを予防する役割を果たすことはもちろん、いざ労務紛争となった際も、最初に労働者と使用者が確認するものです。雇用契約書と同程度に重要なものですが、会社設立時にひな形を用いて作成したものからほとんど変更せず、会社の実情が反映されていないことも珍しくありません。
 もちろんことさら会社側に有利にすればよいというわけでもありません。大切なのは、会社の業務内容や規模、働き方などの実態を反映させて、労使共に納得できる内容とすることです。
 また、就業規則は、合理的な理由なく労働者に不利益な変更をしてはいけません。合理性の判断としては、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性などを総合的に判断する必要があります。
 会社の社会保険労務士や総務担当者と協力し、もっとも適切といえる内容としましょう。

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事例
2

 退職勧奨のアドバイスを行い、退職の合意をした例

事案概要

 他の従業員とトラブルをすぐに起こす従業員に対して、他の多くの従業員から退職勧奨をするよう求められて困っております。退職して貰えないかとお願いすることもやむを得ないかと考えておりますが、接する際の注意点や話し方、想定されるトラブルを事前に相談させてください。

解決方法

 一度採用した従業員を解雇することが困難なことは、企業間にも周知されてきました。しかし企業経営者の中には、一度採用したら退職勧奨を行うことも許されないと誤解されている方もいらっしゃいます。もちろん労働者の人格を無視した退職強要が許されないことはいうまでもありませんが、会社側の事情や他の従業員の思いを伝えることが直ちに違法になるわけではありません。
 決して解雇ではないこと、労働者には選択の自由があることをしっかりと伝えたうえで、誠実に交渉をしてはいかがでしょうか。
 また、その際は、従業員側が録音をしている可能性も考慮し、十分な法的知識を取得しましょう。想定問答を作成することも考えられます。
 仮に退職に応じていただる場合は、退職合意書を作成し、債権債務が互いに残らないことを確認すべきです。

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事例
3

 解雇に伴う紛争について労働審判が申し立てられ、一定の解決に至った例

事案概要

 退職勧奨をして、退職合意書を作成した従業員から、違法に解雇をされたとして、労働審判が申し立てられました。ようやく退職してくれたと一安心しておりましたので、とても驚いています。どのように対応すればよいでしょうか。

解決方法

 労働審判はあくまで話し合いの手続ではありますが、弁護士に依頼せず対応するのはあまりに無謀です。現在の名古屋地方裁判所労働部の運用では、第1回の手続で相当具体的に中身の聴き取りが行われ、その場で和解案が示されることもあります。裁判官にこちらの話をじっくりと聞いて貰える、話せば労働者の言い分が間違っていることを分かって貰えると思い裁判所に向かうと、そのギャップに驚かれるかもしれません。
 労働審判の申立書を弁護士が受領したら、申立書や提出された陳述書を分析し、認めるところ、認めないところの整理をいたします。そして法的観点から主張を整理したうえで、判例検索ソフトなども活用し類似事案の裁判例を調査いたします。そのうえで、当方の言い分を陳述書などにまとめ、その裏付け資料も収集します。会社側に協力してくれる従業員からも陳述書を取得し、いずれも事前に裁判所に提出したうえで、1回目の労働審判手続に向かうことになります。
 労働審判は3回以内を目安に話し合いを行います。不当解雇やハラスメントを理由とした労働審判には、だいたいこれぐらいで解決、という相場が形成されているとは言い難いのが実情です。過去の経験ではこれくらい払って終わらせた、とお伝えすることはできますが、ご相談内容のように退職合意書を取得しているような事案では、法的には会社側に支払義務がないことをはっきりと伝えるべきです。
 もちろん合意をした方がメリットが大きい場合も多いのですが、納得できなければ訴訟で争えばよいという気持ちも持つべきです。どのような解決が望ましいのか、二人三脚で弁護士と一緒に取り組みましょう。

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事例
4

 労働者からの残業代請求に対し、請求額の半額以下の金額で合意をした例

事案概要

 退職した労働者が依頼をした弁護士から、未払残業代があるものとして内容証明郵便が届きました。色々迷惑をかけて突然退職しておきながら、このような請求をすることに納得できません。どのように対応すればよいでしょうか。

解決方法

 就業規則、賃金規定、タイムカードを受領し、会社側の視点から未払残業代の有無を整理します。過剰な主張があればその点の減額交渉を行います。そして訴訟に至るリスクを考慮したうえである程度の概算での合意を目指すのか、徹底的に抗戦をするのか、ご希望に添う形で対応いたします。
 未払い残業代には6%(退職していた場合は14.6%)の遅延損害金が発生します。また、判決になった場合は、付加金とよばれるいわば制裁金が課されることがあります。このような事情から、残業代請求に対しては早期対応、そして早期解決が必須となります。
 もちろん言い値を全て支払うわけではありません。タイムカードのない事案などが典型ですが、労働時間であったか否かが争われる事案もありますし、その計算方法もアバウトな概算で算出している事案もあります。
 残業代の裁判は会社側にとっても負担が大きいものですが、労働者にとっても負担は大きいもので、書面は強硬であっても実は話し合いでの解決を望んでいることも珍しくありません。
 まずは腰を落ち着けて言い分をきちんと整理し、適切な金額を算出し、紛争の包括的、一括的な解決を目指すことになります。

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事例
5

 血縁関係にある従業員との紛争を一括的に解決した例

事案概要

 私の会社は父親が設立し、家族経営で拡大はせず、地元密着型で切り盛りをしていました。しかしその分経理関係はとても雑で、公私混同も見られました。父親の相続により私が代表者となりましたので、そのような関係を清算しようと試みましたら、なんと労働組合から団体交渉の申し入れ書が届きました。どのように対応すればよいでしょうか。

解決方法

 相続に伴い会社の親族関係を整理しようとしますと、とても労力がかかります。どのような会社でも多かれ少なかれ公私混同は見られるものです。実際には働いていないのに給料を支払っている、名目的な役員が存在する、会社名義の車両を個人利用している、会社名義の携帯電話を個人利用しているなど、1つ1つ解きほぐし、各人の理解を得ながら正常な経営に戻していく必要があります。そのような過程で相手方に弁護士がついたり、労働組合から団体交渉を申し入れられることも珍しくはありませんが、産みの苦しみと思い対応するしかありません。
 例えば実際には働いていない親族が取締役になっている例では、株式の過半数、あるいは3分の2を有するからといって強引に解任や定款変更決議を取ろうとすると、後日損害賠償請求がされることもあります。
 まずは法律的に正しい主張を行うべきですが、実際の感情や、利益分配、遺産分割時の約束事などを整理し、裁判所の調停手続も利用しながら包括的な解決を目指すことになります。

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事例
6

 強硬な労働組合との団体交渉を行い、一定の和解により解決をした例

事案概要

 私はごく小さな会社を営んでおります。私のところで修行をさせて欲しい、という若者がいたので受け入れて、一生懸命指導をしておりました。すると突然、残業代が支払われていない、ハラスメントもあるとして労働組合から団体交渉申入書が届きました。顧問弁護士もいませんので私一人で対応しておりましたが、私が違法行為を行っていると怒鳴られ、もう対応しきれません。どうすればよいでしょうか。

解決方法

 労働組合との団体交渉は、弁護士への依頼を検討した方が無難です。どのような行為が不当労働行為となり、どのような行為が不当労働行為とならないのかは、弁護士であっても判断が難しいときもあり、ご自身で対応するのは限界があります。団体交渉を拒んだり、あるいは組合を抜けるよう労働者を説得するなどの行為が不当労働行為の典型ですが、弁護士が入る前にこれらを行うことで、話し合いで解決できず訴訟に移行するパターンもよく見られます。
 また、労働組合は団体交渉の様子を録音することがありますが、後日訴訟となった際に、会社側に不利な証拠として録音データが提出されることもあります。弁護士に依頼をし、適法に、しかし不利な証拠を残さない団体交渉を目指すべきです。
 団体交渉のポイントは、誠実に交渉に応じる義務があること、しかし、要求に応じる義務まではないこと、の2点です。
 大半の労働組合も信念を持ち、労働者のためによかれと思い団体交渉を行います。誠実に交渉をすることでその多くは妥結点を見いだすことができております。また、どうしてもつらい、怒鳴られ続けて話し合いが進まない、などの場合、会社側から民事調停や労働審判を申し立て、話し合いの場を裁判所に移すことも考えられます。
 いつかは解決すると信じて、粘り強く取り組みましょう。

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事例
7

 ハラスメントがあったとして訴訟を提起され、和解をした事例

事案概要

 退職をした労働者が弁護士に依頼し、パワハラがあったとして損害賠償の請求をしてきました。確かにミスをした際によく指導をしていた従業員でしたが、私はパワハラがあったとまでは思っておりません。どのように対応すればよろしいでしょうか。

解決方法

 労働紛争の中でも、ハラスメントの法律相談は世間の関心の高まりと共に増え続けています。弁護士から内容証明郵便が届いたり、労災申請の要請があるなど、戸惑うこともあるかと想います。
 ハラスメントは世代によって捉え方も異なる問題です。ハラスメントがあったのか否か、という観点よりも、生じた紛争をどう解決するのかという視点がまず重要です。また、同様の紛争を発生させないための改善も必要です。
 ハラスメントの紛争では、LINEやFacebookのメッセージ機能でのやり取りが証拠として提出されることも増えました。机の横に立たされて叱られる、というイメージではなく、休日や帰宅後のメッセージが問題とされ、精神的負担の有無や多寡が争点となります。
 ハラスメントの紛争は、もちろん労働者のいいなりになって支払うわけではありません。請求金額が妥当なのかは類似裁判例の調査を行う必要があります。うつ病になったなどの主張は既往症の有無を調査する必要もあります。訴訟にて入社前からの通院歴が明らかになる事案もあり、またツイッターやFacebookなどで、訴訟での主張とは異なる元気な姿が映り込むこともあります。
 感情的になり落としどころを見誤らないよう、客観的な視点からアドバイスできる弁護士に解決を依頼してはいかがでしょうか。

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事例
8

 従業員の引き抜き行為に対し、警告書を送付した事例

事案概要

 最近立て続けに従業員が数名退職いたしました。よく聞くと、昨年退職した従業員が同種の会社を立ち上げ、引き抜き行為を行っているようです。それも仕方ないかと静観していましたが、どうやら引き抜きの際に露骨に会社の悪口や社長の悪口を言っているようです。止めることはできないのでしょうか。

解決方法

 採用難に伴い、従業員の引き抜きに関するトラブルが増えました。多大な採用コスト、教育コストをかけ、ようやく一人前に育てたと思ったところで引き抜かれますので、会社側に生じる実際の損害も大きなものとなります。
 本人達の意思によるものだ、と大人の対応をしていては現場は立ち行かなくなります。引き抜き行為に対する法理論をしっかり学び、法律上主張できること、できないことをしっかりと検討する必要があります。
 引き抜き行為の適法性を論じる際は、退職前の引き抜き行為(他の従業員を誘って会社を設立するなど)の場合と、退職後の引き抜き行為の場合に分けることが多いかと思います。
 退職前の従業員は、労働契約上、使用者の正当な利益を不当に侵害しないよう配慮する義務、いわゆる誠実義務を負っており、社会的相当性を逸脱する引き抜き行為には誠実義務違反が成立するものと解されています。
 例えば自らが従業員であった期間から計画的に他の従業員に対し退職方法を指示し、一斉に大量の離職者を出す方法にて引き抜き行為を行ったなどの事情があれば、違法性を帯びるかと思います。
 他方、退職後の従業員に対しては、営業活動の自由があります。そして在職中の従業員にも職業選択の自由があります。魅力的な労働環境に移るのは、労働者の自由な判断に委ねられます。
 しかし、事実とは異なる会社の悪口を言っている、社長の悪口を言っている、など、社会的相当性を逸脱するような態様での引き抜き行為の場合は、違法性を帯びる可能性はあります。あまりにひどい場合は、会社から警告書を送付することも検討すべきでしょう。
 また、残念ながら退職を止めることができなかった従業員に対しては、顧客情報の持ち出しを禁止する、あるいは一定の顧客に関する営業を禁ずる合意書を作成する、場合によっては競業避止義務を課す誓約書を取得するなどの次善の策を講ずることも考えられます。もちろん競業避止義務を課すことも全てが有効となるわけではありませんが、裁判例の傾向を調査したうえで、適法な範囲でどのような対応ができるのかを、弁護士とともに検討しましょう。

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事例
9

 従業員同士のトラブルに関し、会社側の立場から紛争を終結させた例

事案概要

 お昼の休憩時間中に従業員Bが従業員Aに暴力を振るいました。話を聞いているとどうもAがBをからかったようで、どちらにも非があるように見えます。AもBも警察に被害届を出しており、収集がつかなくなってきました。会社としてどう対応すべきでしょうか。

解決方法

 従業員同士の喧嘩の場合、当事者が解決する問題だと静観をしていいものかは、弁護士に一度は相談すべきです。仲が悪い、という程度ではなく、それこそ実際に暴力行為が行われたような場合は、民事・刑事の双方の法律上の問題が発生しますし、取引先にも説明が必要な場合もあります。
 また、従業員が業務に関連して不法行為を行った場合は会社は賠償責任を負いますし(民法715条)、会社は従業員に対する安全配慮義務(労働契約法5条)を負いますので、会社が直接賠償義務者になる可能性もあります。また、業務に起因して生じた災害であれば、従業員同士の喧嘩であっても労災の認定を受けることがあります。
 既に警察に被害届が出されているのならば、現場検証も行われるでしょうから、警察に協力をする必要もあります。
 会社としても事実関係を確定させる必要がありますが、双方従業員と親しいわけではない外部の弁護士に調査を依頼するなど、公平性にも留意する必要があります。
 そのうえで、会社として被害者に謝罪をするのか、一定の賠償金を支払うのか、そしてどちらの従業員にどのような懲戒処分をくだすのか、客観的に見て適正妥当といえる結論を検討する必要があります。
 初動対応が遅れることで双方が弁護士に依頼し、会社も巻き込んだ訴訟に至るなど、紛争が拡大することもあり得ます。事態を軽く見ることはせず、早急な解決を図るべきです。
 従業員同士のトラブルは、特定の職種、思想、国籍などに対する差別感情が根底にあるなど、根深い問題を抱えていることもあります。人材不足により様々な人材が職場に入り、グローバル化も進みました。企業文化として多様性を受け入れる必要もあり、従業員同士のトラブルは、その根底に何があったのかを注意深く検討する必要があり、従業員教育を見直す機会にもなります。相互理解が不足しているのならば、研修を行い、スムーズに業務を行える体制を整える必要があります。
 人材不足により、従業員が心地よく働ける環境の整備は企業にとって急務となっています。このようなトラブルを改善の契機と捉え、同じトラブルが起こらないよう対応しましょう。

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事例
10

 会社に損害を与えた従業員と分割払いの合意をした例

事案概要

 ある従業員が会社に損害を与える行為を行っていました。刑事告訴をすべきでしょうか。どのような回収方法があるのでしょうか。

解決方法

 従業員の横領をはじめとする違法行為に直面をしたとき、会社としてどのように対応をすべきなのか判断に迷うことがあります。頭では刑事告訴をしなければならないと分かっていても、もともと親しい人であったり、職場でのかばい合いがあったり、本人の家族の顔が浮かんだりし、適切な対応を取れないこともあります。
 明確な違法行為が判明した場合は、窓口を弁護士に切り替え、淡々と法的にできることを進めて行く方がよい場合も多くあります。刑事告訴を行う場合、警察は簡単には受理をしません。会社側で資料を整え、預貯金の取引履歴写しや金銭の流れ、聴き取り結果などをそろえる必要があります。警察への事前相談を行ったうえで、弁護士と共に告訴状を作成していくことになります。
 また、損害が発生している以上は、損害賠償請求を行う必要もあります。
 入社時に身元保証契約を締結しているのならば、早急に身元保証人にも連絡が必要です。仮に身元保証人に伝えるのが遅れ、その期間中に損害が拡大した場合、拡大した損害については身元保証人に請求することができない可能性があります。なお、身元保証契約は期限の定めがあれば最大で5年間有効とされておりますが、自動更新の条項は無効とされておりますので、5年より前に取得した身元保証書では身元保証人に請求することはできません。
 損害の回復を図るうえでは刑事告訴をすべきか否か悩ましい場面もあります。刑事告訴を行い刑事処罰を受けてしまうと、就労もできず、結局弁済資金を捻出することも困難となります。ここは、処罰の必要性、その金額、回収可能性等を総合的に考慮して決する必要があります。
 仮に回収を図る際は分割払いになることも多いかと思いますので、未履行の際に強制執行できるよう、公正証書を作成する、あるいは裁判所の手続を利用する、などの検討も必要となります。
 弁護士に相談のうえ、適切な法的手続を取りましょう。

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